#011
黒いパーカーのフードを被る
これで私は影法師
誰の気にも止まらない黒い小さな影法師
夜の寒い闇に紛れて泣いてしまおう





#012
私は待っていたんだ
寄せては返す期待と失望に淘汰されながら
どちらでもない言葉を。
お前なら大丈夫なんて言葉は
もう重い。
どうしてだ、も、頑張ったね、も
もう痛い。





#013
こんな中途半端なものはいらない
何か一つ賭けられるものが欲しい
何か一つゆずれないものが欲しい。





#014
怖がりの僕が覗く
新しい世界は
きっと楽しくて優しいんだろう
すくんでも、踏み出せ、一歩





#015
情けない、かっこ悪い
そんな自分はやっぱり嫌だ
受け入れるなんて高尚なこと
諦めのようで嫌いだ
それでも諦めた私がいる
自分で刺したいくつもの十字架は
きっと消えることはないんだろう
私は、いつかの私を裏切った卑怯者だ
それでも
ああ
笑っていたい





#016
幼い頃からの夢は
あんまり密着しすぎていて
今でさえ剥がそうとすれば痛くて
夢を見ていた幾億もの瞬間の私が
夢を捨てた私を見て責め続ける。





#017
あなたの澄んだ瞳に映る
淀んだ、僕
あなたの目には
淀んだ球(せかい)の中の
あなたが映ってるの?





#018
君と他愛もない話をした後の夜が嫌だ
一人が怖いなんて初めて思った。





#019
悪いのは私で
当然のことだけど
眠るあなたに手を振りほどかれると
痛くて
泣きたくなる





#020
囚われて
夢を見る
いつかの、頼りない君の背中。