#031
大きくなりたい
定義付けられるのは
いつだって小さな私だから
いつかの話
高く高く飛ぼうとしてた
自分の体に負けたくなくて
誰よりも高く飛べばきっと
拓けた空が待ってるって
でも私の場所はそこになかった
突き落とされた冬の日
今も私は怖がりで
一人の夜優しい本を読んで
不意にささくれがめくれていく
大切な人との約束を守れないと泣いてる





#032
何か意味があるのだと
そう考えることで
楽になりたいのだ





#033
生まれて、ここにいる
生きている
だから必ず誰かを、何かを
傷つけている
でもそれを補うほど
抱きしめることも優しくすることも
できるのだから
そのために僕の手を使いたいと思う





#034
[やさしくありたい]
泥だらけの僕が思う
裏切られて、傷ついて
馬鹿なことしてるって分かってる
春の中、僕だけがくすんで見えても
全ての色が原色で苦しくなっても





#035
勇気を与えられて
見えない手で頭を撫でられ
強い声で叱られ
それでもなお震える心
いつか貰った箱
頑ななそれをこじ開けた
どこかで血が流れた
中には鏡
映ったのは情けない顔
鏡は問うた
「あなたの望みは何ですか」
目を瞑ってもう一度開けた
「私はいきます」
かぎを拾いに行くよ
君にも会いにいく





#36
一人、怖くて淋しくて泣いているなら
シグナルを下さい。
鈍感だから拾えないかもしれないけど、
さがすよ。
君をさがす。
それでまたお節介を焼くからさ。





#037
隠しておきたい部分っていうのは
脆くて、柔らかくて
自分はそこが嫌いで
恥かしくて、後ろめたい
だから皆一緒なんじゃないかって
嫌われるんじゃないかって
怖くなる





#038
泣くほど辛くて
吐きそうなほど苦しくて
一通の文にすら一喜一憂
でも、それも
君とならいいやって思うんだ
振り返ったら
恥かしいやら情けないやら
でもくすぐったくて笑える
愛しい想い出になるなら
そいつらが僕らを作ってくのなら
これからも二人
そういうものをたくさん作っていこう






#039
許す君は愛しき人
赦される私は醜い。





#040
雨が降る中抜け出した
探し物を探して
続く坂道、止まない雫は傘を伝う
本当は探し物なんて口実で
冒険がしたかった
空っぽの心で、虚ろな瞳で
それでも何かを求めていた
立ち寄った本屋で
面白い本を見つけた
立ち寄った服屋で
茶色い花のついたスカートを買った
風が吹いた
空が見えた
光が雫に溶けこんで落ちた
雨は相変わらず私の体を濡らしたけど
傘を指すのが勿体無くて
そのままで自転車を漕いだ
ねえ、今、君は何してる
外はこんなに美しいよ
結局探し物はなかったけど
お天気雨の空気を吸って
貼り付いた髪を払って
キラキラした川を渡った
これでいいや
そう呟いて笑いながら